線香花火
それから。
「おかえりー、遅かったね?」
「サユリちゃん……」
「いやさ、ちょっと見てないうちはぐれたから、しばらく探してたわけ。そしたらヨウちゃんだっけ? といるの見たから、先帰っちゃった」
……だったら一声掛けてくれればいいのに。
なんて思いを、あたしは呑み込む。
──帰ってきたあたしを迎えたサユリちゃんは、ニヤニヤしていた。
そして、先に帰った言い訳を並べ、訊ねた。
「んで、何かあった?」
「!?」
「たぶん、好きなひと絡み……」
「え、何でっ」
「赤い。にやけてる。いつもよりテンション高い」
「え……」
やっぱり彼女には敵わない。
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仕事に対してストイックで、優秀なパイロットとして周囲からも認められている。
別れるしかなかった美月のことを、離れてから十一年経った今も忘れられずにいる。
*****◇*****◇*****◇*****
高校時代に付き合っていた碧人と奇跡的な再会を果たし
気持ちを抑えきれず一夜を過ごした美月。
その後妊娠がわかり、内定していたイギリス赴任をなくなく辞退した。
無事に出産してから二年。
息子の蓮人とともに小松に赴任し、カフェでの仕事にやり甲斐を感じていた矢先。
再び奇跡が起こり、碧人と再会。
そして――。
*****◇*****◇*****◇*****
※ 2025年3月ベリーズ文庫から発売予定です。
書籍版はサイト版よりも溺愛テイストをアップし
ふたりをさらに幸せにしております。
よければそちらもお楽しみくださいませ。