線香花火
それから。
「おかえりー、遅かったね?」
「サユリちゃん……」
「いやさ、ちょっと見てないうちはぐれたから、しばらく探してたわけ。そしたらヨウちゃんだっけ? といるの見たから、先帰っちゃった」
……だったら一声掛けてくれればいいのに。
なんて思いを、あたしは呑み込む。
──帰ってきたあたしを迎えたサユリちゃんは、ニヤニヤしていた。
そして、先に帰った言い訳を並べ、訊ねた。
「んで、何かあった?」
「!?」
「たぶん、好きなひと絡み……」
「え、何でっ」
「赤い。にやけてる。いつもよりテンション高い」
「え……」
やっぱり彼女には敵わない。