線香花火
「アイス……」
「あらあらいらっしゃい」
「お邪魔します……」
おばあちゃんちに着く頃には、身体中汗ばんで気持ち悪かった。
そんなあたしと対称的に、おばあちゃんは涼しげだ。
どうしてそんなに爽やかな表情でいられるんだ。
「久し振りだねぇ」
「あ、サユリちゃん」
「元気してた? 暑いよねー」
奥から現れたサユリちゃんは、扇子をぱたぱたさせながら、懐かしそうに満面の笑みを浮かべた。
にぃ、と、口の端から綺麗な白い歯が覗く。
「ま、上がんなよ」
いつの間にか中に入っていたおばあちゃんに続くサユリちゃんを追いかけようと、慌ててサンダルを並べた。