線香花火
アイスはさすがになかったものの、よく冷えたスイカはそれ以上に美味しい。
出されたそれを、ふたり並んで食べながら、サユリちゃんは4日後アメリカに帰るということを聞いた。
「だからさ」
口元を拭いながら、サユリちゃんが言う。
塗られたネイル、光るスパンコールが眩しい。
「お祭り、行こーよ」
……嫌とは、言えなかった。
ほんとうは──、まだ、全然、吹っ切れていないのに。
行けばきっと、思い出してしまうのに。
罰ゲームなんかしなければよかった、そうすれば変な期待はしなかったし、きっとこんなに躊躇わない。
1年も引きずるなんて。
終わったこと、なのに。