線香花火

アイスはさすがになかったものの、よく冷えたスイカはそれ以上に美味しい。


出されたそれを、ふたり並んで食べながら、サユリちゃんは4日後アメリカに帰るということを聞いた。

「だからさ」


口元を拭いながら、サユリちゃんが言う。

塗られたネイル、光るスパンコールが眩しい。


「お祭り、行こーよ」


……嫌とは、言えなかった。


ほんとうは──、まだ、全然、吹っ切れていないのに。

行けばきっと、思い出してしまうのに。


罰ゲームなんかしなければよかった、そうすれば変な期待はしなかったし、きっとこんなに躊躇わない。


1年も引きずるなんて。

終わったこと、なのに。

< 7 / 27 >

この作品をシェア

pagetop