私の道 ―(実話)―
「…お客さん?」


運転手さんに呼びかけられて、ハッと我にかえった。

少し考えてから出しかけたお金をお財布に戻した。


「あのぅ…あの二人の後を追ってもらえませんか?
駐車場から出てくると思うんですけど…」

「……いいけど、車種は?ナンバーもわかるかい?」


運転手さんは、バックミラー越しに不審げな表情をうかべた。


「黒のシーマです、ナンバーは33**」




忘れるわけがなかった



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