もしも、僕らが
イズの細い腕が、俺の腰に巻きついて。
白い手が、ぎゅっと体を抱きしめる。
背中には、彼女の耳がぴったりとくっついて。
温かな体温が、俺の中に流れ込んでくる。
俺は思いっきり、ペダルを踏んだ。
猛スピードで自転車をこいでいく。
二人乗りは、昔からよくした。
小さい頃は俺が荷台に乗ってたけれど。
多分、今俺が荷台に乗っても。
彼女は5分もこげないに違いない。
田んぼの道を抜けて。
木々の間をすり抜けて。
長い長い、坂道。
俺は、ペダルをこぐのを止める。
自転車は自然に加速していく。
風が、火照った俺達の体を、急速に冷やしていった。
イズが、楽しそうに笑った。
そして、大きな声で叫んだ。
「ひゃっほーっ!!!!!」