もしも、僕らが
「何なん??お前、寝れんの??」
「ん。だって、暑いし」
俺は、親父に歩み寄る。
そして、隣に座った。
あちらこちらから、虫の声がする。
セミの声。
コオロギの声。
どれも、聞きなれた声だ。
空は少し曇っているせいか。
星は一つも見えない。
「・・・お前、この村を離れるの、嫌か」
父さんは俺の顔も見ず。
ぼそりと呟いた。
俺はその横顔を見る。
父さんと母さんは、この村の出身者だ。
ただ、2人とも高校と大学は村の外に出ていて。
結婚してから、この村に戻ってきた。
だから俺は、この村から外に出たことがない。
「嫌じゃないわけ、ないやろ」