もしも、僕らが





「何なん??お前、寝れんの??」


「ん。だって、暑いし」






俺は、親父に歩み寄る。

そして、隣に座った。





あちらこちらから、虫の声がする。

セミの声。

コオロギの声。


どれも、聞きなれた声だ。




空は少し曇っているせいか。

星は一つも見えない。





「・・・お前、この村を離れるの、嫌か」






父さんは俺の顔も見ず。

ぼそりと呟いた。



俺はその横顔を見る。




父さんと母さんは、この村の出身者だ。


ただ、2人とも高校と大学は村の外に出ていて。



結婚してから、この村に戻ってきた。




だから俺は、この村から外に出たことがない。





「嫌じゃないわけ、ないやろ」







< 31 / 59 >

この作品をシェア

pagetop