もしも、僕らが
俺は、公平の坊主頭を見る。
「・・・お前、イズにちゃんと話したんか」
俺は、ごくりとつばを飲み込んだ。
公平は、俺の顔を見ようともしない。
何のことか分かっていたけれど。
俺はわざとそう呟く。
「何のこと」
「とぼけんなよ。
こんな狭い村で。
お前ん家の引越し話が、広まらんわけがない」
・・・もう、広まってんのか。
確かに、こんな狭い村で、広まらないわけがない。
「・・・多分、イズだってもう、聞いちょん」
「そういう問題じゃないやろ」
源五郎を撫でていた、公平の手が止まった。
源五郎がもの淋しそうに鳴く。
公平の目が、俺の目を真っ直ぐと見た。
俺よりも10センチも高い身長から。
覗き込むようにして。