もしも、僕らが
「・・・結局、イズには自分からは言わんかったんか・・・」
小さな声で、公平が呟く。
俺は、どう返事をしていいか分からなくて。
俯いた。
太陽は傾いていた。
「キューン・・・」
足元で、鳴き声がして。
俺は下を向く。
そこにいたのは、源五郎だった。
バスで行くため、源五郎は連れて行けない。
その為、源五郎は隣のおっちゃんに譲り渡すことになった。
「・・・源五郎。またな」
俺の手のひらよりも少し小さい頭を、なくさん撫でてやる。
俺は笑顔だったのだけど。
ただならぬ雰囲気を感じてか、源五郎はずっと淋しそうに鳴いていた。
いたたまれなくなって。
源五郎を抱きしめる。
源五郎とは、彼がうまれた時から一緒だった。
近くの家で産まれたコイツを、どうしても飼いたくて。
妹と一緒に、母さんに土下座をしたんだ。