ice prince
怜の私を抱きしめる手が少し緩んだと思ったら
私の唇に少し冷たい怜の唇が重なっていた。
数秒間重なっただけ。
それなのに
重なっていた時間はとても長く感じられて
重なった唇は熱を帯び
心臓のドキドキが加速した。
「今のが、忘れ物。」
「嫌だったか??」
「嫌…じゃないょ。」
「そうか。じゃあ、またな」
日の暮れた住宅街
私たちを照らすのは周りにある電灯と
大きなお月様と星たち。
そんな中で
怜と初めてのキスをした。
甘い、甘いキス
私のファーストキス
そっと自分の唇に手を当てる。
夏の夜は肌寒い
だけど
私の唇はまだ、彼の熱を帯びたまま。
fin.