ice prince
「お仕事お疲れ様、怜」
「ああ、愛華もな」
そっと唇を重ねた後
車は発進する。
私と怜はずっと今まで付き合ってきた。
喧嘩もして別れそうになったこともあった。
だけどやっぱり私には怜しかいなくて。
怜はバリバリのエリートサラリーマンで
有名な大企業で働いている。
若いながらによくわからないけど凄い役職をもらっているみたい。
だから怜は飛び切り忙しい。
幼稚園教諭も暇そうな仕事に思う人がいるが
とても忙しい。
忙しい合間を縫って会うので
時間が途轍もなく短い。
ちょっと寂しい気もするが
社会人だからしょうがない。
学生だった頃のように
会いたい
出かけたい
家でゴロゴロしたい
といった自由は、わがままは聞かないのだ。