ice prince
「いや…やめて!!いやぁー」
叫ぶけどどうせこの声は誰にも届くわけがない。
私は車の中に投げ込まれる。
もう、終わりだ。
私を担いでいた男が車のドアを閉めようとする。
あ…閉まっちゃう…
どんどん閉まっていく中私に一筋の光が見えた。
ドアは殆ど閉まっていたが誰かが手を掛けていた。
外ではもめている声。
私は腰が抜けたというか、恐怖心で何も出来ない。
ただがたがた震えてドアの方を見ているだけ。
暫くするともめている声は聞こえなくなって、ドアが開いた。
するとそこにいたのは、
「…れ…い…くん?」
怜くんがいつものあのクールな顔で立っていた。
「ほら。」
そういって怜くんは手を差し出した。
私はその手に向かって手を差し出す。
私の手と怜くんの手が繋がった瞬間、
私の目から安堵の涙が零れ落ちた。