禁断のドラムヴィーナス
「…どうしたの?分からない??」
竜矢はちょこんと首を傾けた。そして見本にフットをしてくれた。私の苦手なハイ・ハットフットを、竜矢は綺麗に叩いていた。
演奏会当日、竜矢は一時間以上早く、会場入りしていた。私を見つけ、他の部員にバレないように小さく手を振ると、私の近くに寄ってきた(そんなことしたらバレちゃうけど、良いのかなぁ?)。
「仄佳。ドラム何曲目?何の曲やるの?」
「秘密。ディスコ・パーティ2とリトル・マーメイド・メドレー、イン・ザ・ムードよ。ゆっくりしていってね。」
ドラムのヘッドをいじりながら答える私に、「楽しみにしてる」と答え、竜矢は会場付近を見物に行ってしまった。
「仄佳先輩、彼氏さんですか?なんか格好良い男性でしたよね?仄佳先輩とめちゃくちゃお似合いですよ。…仄佳先輩?」
同じパートの後輩に声をかけられる。スティックを回してフロアタムを、叩き鳴らす。そうしていつも通りヘッドいじりを手伝ってくれる。
「もう別れるかも…。竜矢、口では好きって言ってくれたりするけど、一回もデートしたことないし、プレゼントなんて一回たりともくれたことないし。会って話すのはいつもドラムのことばっかり。正直…飽きる。」
フロアタムをいじっていた後輩は、私の方を向いて、音を止めた。私の頬を涙が伝っていったから。
「私ばっかり、竜矢を好きな気がする。口でしか、好きって言ってくれない。体で示してくれないの。…本当はさっき『別れよ』って言うつもりだった。だけど言えなかった。好きだから少しでも近くにいたかったから。私は、竜矢が好きだから。」
「仄佳先輩…。」
暗いふいんきの中、演奏会が始まった。終始ぼーっとしてた私に、演奏会が終わってから、竜矢は、指に入らないほど小さな二つの指輪を渡した。
「それは『パーカスの女神様』っていうお守りで、それをネックレスのチェーンに通して、ネックレスとして使うとね、努力した分だけ綺麗に叩けるようになるんだよ。きっとそれつけたら、仄佳のドラムは誰かの心を揺れ動かすことが出来るくらい、レベルアップするよ。…そんなの無くても、僕の心は、仄佳のドラムに揺れ動かされたけどね。」初めてのプレゼントは『パーカスの女神様』だった。
「ありがとう。」
そう言って満面の笑みで笑った。
竜矢はちょこんと首を傾けた。そして見本にフットをしてくれた。私の苦手なハイ・ハットフットを、竜矢は綺麗に叩いていた。
演奏会当日、竜矢は一時間以上早く、会場入りしていた。私を見つけ、他の部員にバレないように小さく手を振ると、私の近くに寄ってきた(そんなことしたらバレちゃうけど、良いのかなぁ?)。
「仄佳。ドラム何曲目?何の曲やるの?」
「秘密。ディスコ・パーティ2とリトル・マーメイド・メドレー、イン・ザ・ムードよ。ゆっくりしていってね。」
ドラムのヘッドをいじりながら答える私に、「楽しみにしてる」と答え、竜矢は会場付近を見物に行ってしまった。
「仄佳先輩、彼氏さんですか?なんか格好良い男性でしたよね?仄佳先輩とめちゃくちゃお似合いですよ。…仄佳先輩?」
同じパートの後輩に声をかけられる。スティックを回してフロアタムを、叩き鳴らす。そうしていつも通りヘッドいじりを手伝ってくれる。
「もう別れるかも…。竜矢、口では好きって言ってくれたりするけど、一回もデートしたことないし、プレゼントなんて一回たりともくれたことないし。会って話すのはいつもドラムのことばっかり。正直…飽きる。」
フロアタムをいじっていた後輩は、私の方を向いて、音を止めた。私の頬を涙が伝っていったから。
「私ばっかり、竜矢を好きな気がする。口でしか、好きって言ってくれない。体で示してくれないの。…本当はさっき『別れよ』って言うつもりだった。だけど言えなかった。好きだから少しでも近くにいたかったから。私は、竜矢が好きだから。」
「仄佳先輩…。」
暗いふいんきの中、演奏会が始まった。終始ぼーっとしてた私に、演奏会が終わってから、竜矢は、指に入らないほど小さな二つの指輪を渡した。
「それは『パーカスの女神様』っていうお守りで、それをネックレスのチェーンに通して、ネックレスとして使うとね、努力した分だけ綺麗に叩けるようになるんだよ。きっとそれつけたら、仄佳のドラムは誰かの心を揺れ動かすことが出来るくらい、レベルアップするよ。…そんなの無くても、僕の心は、仄佳のドラムに揺れ動かされたけどね。」初めてのプレゼントは『パーカスの女神様』だった。
「ありがとう。」
そう言って満面の笑みで笑った。