初恋アンドロイド
それから帰った後も
私と露衣くんは喋らなかった。
もし私が話しかけたとしても
返事が返って来る自信は無かった。
露衣くんはずっと上の空だったから。
きっと頭の中で
毎週金曜日に向かう場所へ行っていたのかもしれない。
(きっと……私が声をかけなかったら、露衣くんはいつも通りの場所へ行ってたよね)
帰り道に見た背中は
そこへ行かなかった後悔と
おそらくそこに居る誰かに
会えなかった悲しさを
背負い込んでいるように思えた。
(私……馬鹿だな)
アンドロイドにだって
プライバシーはあるんだ。