鬼の花嫁

外は相変わらず分厚い雲で覆われていて
昼間なのに暗かった
雨に当たらぬよう軒下で話し始める

「お前も、梅子のこと覚えてたのか?」

「え…あ、はい。なぜそのような事を?」

「実はな、村のほとんどの連中が覚えてねえんだよ」

「え!?」

「今日梅子のこと他の奴らに聞いたんだけどよ、誰も覚えてねえんだ」

「そんな・・・」

「俺が思うに鬼隠しの事知ってるやつが、梅子のこと覚えてんじゃないかと思う」

「…梅子殿大丈夫でしょうか…?」

「さぁな…鬼隠しにあって村に戻った奴はいないからな。」

「…」

「ところがだ。馬鹿な村長がしくじったか…この大雨。
俺の予想ではまた近いうちに鬼隠しにあうものが出る」

「また!?」

「この調子で雨が降り続いたらいずれこの村はダメになるだろ。」

「はい・・・あ!!」

「どした?」

「私おととい村長の家の前を通った時に聞いてしまったんです!!
次の鬼隠しはたぶん…お菊殿…」

「何っ!?」


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