鬼の花嫁

これ以上佐久助殿を困らせるわけにはいかない。

私は目から溢れた涙を拭いて佐久助殿に微笑みかけた。

「そうそう。そうやって笑ってれば幸せになれる!『笑う門には福きたる』って言うだろ?」

「そうですね!」

佐久助殿が私に笑うことを望むなら
私はそれに応えよう。
笑って佐久助殿とお菊殿を見送ろう。
そう決めた。

「じゃぁ、俺はまだ準備あるから」

「はい…今までありがとうございました」

ぺこりと頭を下げて、お菊殿にも挨拶をして私は家に帰った。



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