鬼の花嫁
嫁ぐための準備が滞りなく終わった私は、
時間になるまで機織りの仕事をさせられた。
嫁ぐ前だというのに人手が足りないから、という理由で、だ。
鬼に嫁ぐことを考えたくなかったので私は機織りに集中しようと、ひたすら手を動かした。
正直に、怖かった。
どうしようもなく。
食べられるときはやっぱり痛いだろうか?
生きたまま食べられるのはいやだなぁ、
鬼ってやっぱり、角とか、毛むくじゃらだったりするのだろうか?
そういえば、尚太郎はどうなったのだろう?
さっき離れてから一度も会っていない。
もう、処罰を受けたのだろうか…
今まで、幼いだとか、苦手だとか、思っていたが
佐久助殿達を逃がし、私をかばったときは
すごくかっこよかった。
本当に、私の事思ってくれてたんだ。
それなのに私は、いろいろ冷たいことを言ってしまったり、
結婚するのが嫌だなんて駄々をこねていたなんて・・・。
佐久助殿が好きで好きで、しょうがなくて、
もしかしたら尚太郎はそんな私の気持ちも知っていたのだろうか?
今まで身近にいたのに、気付けなかった。
いや、身近すぎて気付けなかったのか?
鬼隠しにされる今になってようやく
私は大切なことに気付いた。
尚太郎・・・・・
ごめんなさい。