鬼の花嫁


その鬼は、肌が血のように赤く、

黒いつやのある毛皮を着ていて、

太い首にはいくつもの玉や、
尖った動物の歯のようなものを
つなげた首飾りがぶら下がっていた。


髪は黒くて真っすぐ伸びていて肩まである。


そして


二つの眼は夜だというのにはっきり分かるほど不気味にぎらぎらと光っていた。





「よぉ、村の人間ども。
こいつが、今度の我輩の嫁か?」


「へぃ。そうでやんす。」


「ふむ。
で、お前らの今度の望みはなんだ。」



「へぇ、雨が降りすぎてこまっておりまして…」


「雨を降りやませろと?」


「いえ、今年の作物を無事に実らせてくだせぇ。」


「むう。よし。いいだろう。
必ずや今年は豊作にして見せよう。」





「では、この娘を貰うぞ。」

「へい!!ありがとうございます。」


そうして村人たちは帰って行った。





「我々も行くぞ。娘。名は?」

鬼が私に問うた。


「……み…美鈴、と申します。」

声がかすれてしまったが、なんとか答えることができた。

「そうか。我輩は緋昏(ヒグレ)。
今から我輩の家にお前を連れていく。」


「は、い…きゃぁっ!?」



「おとなしくしろ。」



緋昏は、私を脇に抱えるようにしてずんずんと大股で歩き出した。












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