鬼の花嫁
二人が入口に目を向けると、
長い黒髪を一つに結った女の子が立っていた。
細く、しなやかな体。
優雅に緋昏に近づくと、
「兄者、この人間は?」
若干刺がある言い方で尋ねた。
「あぁ。俺の『嫁』だ。」
「よ、よめぇっ!?
この前貰ってたのに?」
「まぁな。」
「あいつは?
食ったなりか?」
そこまで言ったところで、
緋昏がするどい視線を投げた。
怯んだ緋昏の妹は黙り込んだ。
「美鈴、俺はこれから隣山の友の所に
行ってくる。留守を頼むぞ。」
「はい。」
美鈴は頷いた。
「じゃぁな。悪いがお前に構ってやる時間はない。
………あと、美鈴に手を出すなよ。」
と、釘をさしてでていった。