鬼の花嫁
第伍話:藍色
一方、尚太郎は…
「く…………そ…。
ゲホ、ゲホ。」
村人達に裏切り者だと、
罵られ、蹴られ、殴られ、
石を投げられた。
いわゆる、『村八分』
家族からも、
村八分を恐れて見捨てられた。
その姿は傷だらけで、
着ていたものは汚れて所々破け、
ぼろきれのように変わり果てていた。
「……守れなかった……。
僕のせいで…、
あの時もっと僕が強ければ…。」
土を握りしめる。
村から離れた山中に尚太郎は
捨てられた。
もう立ち上がる体力さえ、
残っていなかった。
「ちくしょおおおぉぉおおぉおおおっ!」
しんと静まり返った森に、
尚太郎の悲痛な叫びが轟いた。
ジャリッジヤリッ
土をふみしめる音がした。