映セ身
「なになに?
やっとテストが終わったから、久しぶりに今から彼氏とお楽しみだった?」
話題を切り出した人とは別のチャットメンバーが私を冷やかす。
「残念でしたー。
テストが済んだらすぐ合宿。
今日から居ないの。
一週間後の試合までの辛抱だもん」
…現実の私には彼氏なんか居ないが、こんな見栄はネット社会ではザラにある。
ちなみにテストというのも嘘。
女子高生っぽく振る舞っているが、本当の私は19歳のニートだ。
「でね、さっきの話の続きなんだけどさぁ…
あ!
お母さんが呼んでる。
ゴメンね、今日はここで落ちるから。
おやすみ〜」
話題を切り出したメンバーは、煽るだけ煽っておいて勝手に話を切り上げてしまった。
「はぁ?
アイツ、何だったの?
もう私も寝るね」
私は『あの事件』の話に興味を持ち始めていたので、唐突に話を打ち切られてしまったことに興冷めし、通信を切断して寝ることにした…