妄想すぴりっつ☆
「真衣? あんたは、いつまで寝てるの!!
入学式そうそう遅刻するわよ?」
響き渡る、お母さんの声。
「あぁーもう、うるさいなぁ!!
今から、返事言うとこだったのに!
邪魔しないでよ!」
もう!なんでいきなりお母さんが出てくるの?
今、敦士君といいところだったんだから!
「何、寝ぼけたこと言ってるの?
いいから起きなさい!!」
そう言って、お母さんは布団を勢いよく剥ぎ取った。
ん?布団?
え?? ここはどこ?
朝日が、眩しい。
隣には、いつも一緒に寝ている、くまの『みるくちゃん』
横には、ピンク色の目覚まし時計。
あたしの横に立っている怒りに満ち溢れた表情のお母さん。
目の前には、大好きな敦士君…のポスター
あたしの部屋!?
もしかして、今までのは…
「全部、夢だったの〜!?」
そんなぁ…まさかの、夢落ちですか?
敦士君と、いい感じだったのに!!
って、そんなこと考えてる場合じゃないよ!
今日は、高校の入学式じゃん!!
あぁー! しょっぱなから遅刻なんて絶対ありえない!
とにかく急げー!!
あたしは、猛ダッシュで洗面所に向かいに階段を駆け下りる。
誰もいなくなった部屋の中、ベットの正面に貼られた、俳優である鈴川 敦士のポスターが、
虚しく、朝日に照らされていたのはほかでもない。