俺様執事に全てを奪われて
「海? …ああ、べつに
これといって理由なんてねえよ」

わたしに背を向けたまま元がさらりと答える

「まあ、水に浸かると疲れるからな
俺一人で、疲れてさっさと寝るわけにいかねえだろ」

それだけ?

本当に?

子守を忘れて綺麗な女性たちと、話しがしたかったんじゃないのか?

「あ? なんか言いたいことがあるなら、言えよ
乙葉は勝手に勘違いして、溜めて溜めて…噴火するから
溜めるなよ」

元が手を止めると、わたしに振り返った

え?

目が合うと、元が笑った

優しくて、家にいるときとは違う笑顔だ

「…で?
俺に言いたいことは?
面と向って言えないなら、布団にもぐってもいいぞ」

元がベッドを指でさした

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