俺様執事に全てを奪われて
「いや…海に入らなかったのは…
その、綺麗なお姉さんたちとお話をしたかったのかと…思ったから」


「あ?」

元の眉尻がくいっとあがった

口もとを緩めてから、元が鼻を鳴らす

「馬鹿か?」

元はまたわたしに背を向けて、荷物の整理を始めた

「ば…馬鹿って言うな!」

「馬鹿だろ
ナンパされたいなら、女と旅行するかよ
一人で海に来ればいいことだろ?」

た、確かに…

そうだな

半日なり休みをもらって、海に行けばいいことだ

それに海ではなくても、一人で街中を歩けばすぐにナンパされそうだ

そうか

そうだな

元の言うとおりだな

わたしは深く考えすぎたのかもしれない
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