俺様執事に全てを奪われて
馬鹿らしっ

苛々している自分が馬鹿に見える

だからといって平常心でなどいられない

視界から外しても、女たちの甘い声と元の低い声が聞こえてくる

それだけでわたしの腹がぐつぐつと煮え立つ

かと言って

『話したければ話せばいい』と啖呵を切った手前

堂々と怒れない

「乙葉、いいの?」

「何が?」

「須山さん、ずっと戻ってきてないよ?」

「知らん!
あっちにいたいならいればいいだろ」

「んもうっ
素直じゃないなぁ
やけ食いして、もしかしてお腹が痛いんでしょ?」

「なんで…わかる?
胃が…もたれてちょっと気持ち悪い」

「だって小さくなってるから
身体を丸めて、胃のあたりそっと撫でてるし」

そうか

無意識に胃を触っていた

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