俺様執事に全てを奪われて
「なんで振袖なんだよ」

「見合いとはそういうモノだろう?」

「型に囚われ過ぎだ
わたしはワンピースがいい」

わたしはベッドの端にいくとスリッパを足に引っかけた

誰も用意してくれないなら、自分で用意するからいい

わたしは自分の衣装部屋にむけて歩き出す

大股で近づいてきた元に、手首をつかまれる

「どこに行く?」

「服を取りに行く
和服は嫌だ」

「パーティドレスなど、許可できない
絶対に許さねえよ」

「そっちのほうが楽なんだよ
どうせヤラれに行くんだ
着脱が楽なのがいいだろ?」

元の頬が引き攣ると、切れ長の目が一段と細くなった

「聞き捨てならない言葉を耳にしたが、俺の勘違いか?」

「いや、間違いじゃない
『どうせヤラれに行くんだ
着脱が楽なのがいいだろ』とわたしは言った」

「見合いじゃないのか?」

わたしの手首を掴んでいる元の手に力が入る

掴まれている箇所が痛い

「見合いだ
ついでに既成事実を作るらしい
そう言われた…というか命令された」

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