俺様執事に全てを奪われて
「よくもわたくしをはめたわね」

聖子が、言い終わるなり、満面の笑みを浮かべた

「…とでも言うと思って?
わたくしも甘く見られたものね
乙葉さん、わたくしに馬鹿にされたと思って復讐しようとでもしたのかしら?
愛子さんとも親しくしているようですし
見合い相手として、間違えたわね」

ば…ばれてる?

全部…ばればれ?

聖子は知っていたのか?

途中で気がついたのか?

「そうですか
知っておられたのなら、僕が入籍したのもきっと知っているのでしょうね」

「ええ、知っているわ
それにわたくしのおかげで、まだ聖一郎と乙葉さんは独身者よ
区役所の人間を、丸めこむなんてわたくしには簡単ですもの」

聖子の手から、婚姻届2枚がテーブルの上に乗った

有栖川の婚姻届とわたしの婚姻届が、視界にある

見覚えのある紙だ

わたしと元で書いた婚姻届が…どうして聖子のところにあるんだよ

< 175 / 224 >

この作品をシェア

pagetop