俺様執事に全てを奪われて
「ほら、聖一郎君
幸せになるのよぉ
隙を見せたら、聖子の思うツボよ」

「ありがとうございます…えっと…」

「私は乙葉の母よ
娘のピンチだもの
飛んできちゃった!」

母がにこっと笑って、くるっと回転した

「飛んで?」

嫌な予感がしてわたしは首をかしげた

「そう!
パパに頼んで、ヘリに乗っちゃったのぉ
もうすっごい楽しいのね
音が凄いから、悪口の言いたい放題よ!」

和服で、母は楽しそうにジャンプする

…だと、思った

はあぁ…ちょっとは格好いいじゃんとか思ったけど

やっぱ母は母だよ

「か…可愛いお母さんだね」

有栖川が引きつった笑顔で、わたしに言った

「かわいいとか言うな
図に乗るぞ」

「え?
ナニ?
私、可愛い?
本当に…いやん、どうしよう!
年下の男にももてるのねえ」

…ほらな
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