俺様執事に全てを奪われて
「あ…竜ちゃん?」

愛子が心配そうな声を出した

え?

竜ちゃん?

たしか前に一度…愛子の口から聞いた覚えがあるぞ?

どこだったか……

あっ!

有栖川の教室で…聞いた名前だ

「大丈夫です
あれ、わざとですから」

小山内莉子がにっこりとほほ笑んだ

「…なら、いいんだけど」

愛子がさびしそうにつぶやいた

愛子?

どうした?

「あ? なんか人が多くねえ?」

九条克波が首をかしげて、わたしと愛子を見た

「あ、椎名乙葉……だ」

九条が目を丸くした

「なんで?
もしかして生徒会に入ってくれるのか?」

「愛子が入るなら」

「愛子?」

九条の視線が、愛子に向く

「この子?」

「そうだ」

「もちろん、入るよね?」

九条がにんまりと冷たい目で、愛子を見つめた
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