俺様執事に全てを奪われて
元が、受験に失敗したのか?

何でもソツなくこなす元が…か?

「本当に?」

「何度も聞くなよ
俺さ、中学の時、それなりに学力があったし、余裕で高校に行けると思ってたんだよな
勉強もそこそこで遊んでたら、失敗して
全部落ちちまった
やべえ…って思った時はもう遅くて
父親にがみがみ怒られながら、紫桜学院の高等部に金で入学できた
すっげえ、悔しかったし、惨めだった
もう一生の汚点だと思ったよ
一年の最初は、荒れた
ふざんけなって思ってさ
俺はこんな学校で、勉強したいわけじゃねえって心のどこかで思ってて
一年の後半で、生徒会に役員に選ばれて…少しずつ考え方変わってきた
んで、大学は間違えないで進学したいって思えるようになって、必死に勉強した
合格圏内だって言われても、安心せずに気を抜かなかった」

「それで今の元があるんだな」

「まあな
高校で真面目だったぶん、また大学で遊んじまったけど」

あはは、と元が声を出して笑った

「元にも過去があるんだな」

「26歳だからな
それなりに生きてきた過去があるし、過ちもある
失敗して、人は成長するからな
乙葉も今のうちにたくさん挫折を味わっておけよ」

元がわたしの頭を撫でた

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