俺様執事に全てを奪われて
「有栖川聖一郎です」

有栖川がわたしとは目も合わせずに座ると、口を開いた

思わず口を緩めて笑いたくなる

全身から、見合いなどに興味はない…とオーラを放っているから

実の母親にはめられたのだと一目瞭然でわかる

からかい甲斐がありそう男かもしれぬ

「わたしは椎名乙葉と申します
聖一郎様のお母さまからお声をかけられたときはとても嬉しく…」

わたしの言葉をさえぎるように、有栖川がふうっと息を口から吐き出した

楽しい男だ

そうだな

面倒な見合いだ

有栖川には好きな女がいるのだ

もう少し待て

部屋から使用人がいなくなったら

全てを話してやる

だから、まだもう少しわたしに演技をさせろ

日本人形らしい、口調で、な
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