俺様執事に全てを奪われて
「その体勢じゃ、電話を取るのは難しいか?
なら俺が取ってやる」

「ちょ…ん、うご…く、なよ」

わたしの上にいる元が、手を伸ばして家の電話を手にする

通話ボタンを押すとわたしの耳にあてた

このぉ……勝手に、出て!

抜けってば

『乙葉ちゃぁーん、パパですよぉ』

むかっ

なんか、父親のその異様に明るい声が無性に腹が立つ!

『乙葉ちゃん、今、何してるの?』

父の明るい質問が聞こえたのか

わたしの上にいる元がにやりと笑う

『ナ』

『二』

声に出さずに、元が口だけを動かす

父親は現状を知らずに、馬鹿みたいに明るいし

元は元で

この状況を一人で楽しんでるし

なんか

一人でわたわたしてるのが腹立たしいなあ

「勉強中だ
邪魔するなっ!
宿題が終わらねえんだよ」

電話に向かって怒鳴ると、わたしは電話を切った

もう、電話してくんなっ!
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