俺様執事に全てを奪われて
元が動いたとほぼ同時に、また電話が鳴った

え?

このタイミングかよ!

「ちょ…元、止まれ」

「む、りだ
勝手に電話に出ろ」

そういうことを言うか?

ムリとか言うな、馬鹿っ

父親にばれたら、確実に元は首だぞ?

執事を辞めさせらるんだぞ?

それでもいいのかよ

わたしは電話を手に取ると、通話ボタンを押した

出ないで、無視したら

父が怒る

怒るというか拗ねる

拗ねて、これでもかってくらい電話がかかってきてわたしの時間を邪魔してくるから

出ないとなのにぃ…

「な…ん、だよ」

やっとのことで声を出す

『勉強、大変なのか?
須山は教えてくれないのか?』

父の悲しげな声が聞こえてくる

やば…い

声が出そう

「そ、そうでも、ない」

『どうしたんだ?
泣いてるのか?』

はあ?

泣くかよ

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