俺様執事に全てを奪われて
寝不足でも寝坊は許されない
「おい、起きろ」

ぺちぺちと何かを叩かれる音がした

わたしは頬にあたるものを振り払うと、布団の中に潜る

「乙葉、起床時間だ」

「眠い」

わたしは布団をはぎ取られると、枕にしがみついて身体を丸めた

「起きなさい」

「やだ」

眠いんだ

少しくらい寝かせろ

…てか、誰のせいで寝不足だと思ってるんだ

元はすっきりしているかもしれないが

わたしは体がだるいし、眠いし…ゆっくりしたい

「夏休みくらい寝かせろ」

「例外は認められない
6時に起床だ」

「寝る」

わたしは元を無視して、瞼をかたく閉じた

「そうか、俺と寝たいのか
メイドの前で、裸にされたい?」

元の低い声に、わたしは目をぱっちりと開けた

何を言っているんだ?

ベッドに腰をかけている元が、にやりと微笑んだ

勝ち誇ったように口もとを緩めると、立ち上がって喉を鳴らす

「さあ、起きろ
朝食がすでにできている」

はあ…冗談かよ

心臓にわるっ

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