俺様執事に全てを奪われて
「あら、お早いお越しで嬉しいわ」

有栖川のトップに君臨している聖子が扇子で口元を隠しながら話した

「お手紙を拝見したので」

私はテーブルに置いてあるお茶に手を伸ばした

足が痺れてきた

普段、正座なんかしないからなぁ

築何百年ってありそうな家は好きじゃない

いるだけで、緊張する

「話したいこととは、息子のことなの
あなたにお見合いをしていただきたいの
ただ息子は悪い女に引っかかってしまってそっち夢中なのよ
だから先に既成事実を作ってあなたを有栖川家に迎入れるわ」

なんだよ、それ

わたしはただの人形か?



『日本人形みたいねえ』

って言い出し始めたのは、確か聖子からだった気がする

そうか

本当に人形にしたいのだな
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