俺様執事に全てを奪われて
瞼を持ち上げると、わたしは車に乗っていた

後部座席で、横になっている

ぱっと身体を起こすと、元が運転している

わたしは気を失っていたのか?

…てか、どうして元が?

あれ?

洗車は?

「起きたのか?」

すっかりいつものスーツ姿に戻っている元が口を開いた

「あ、うん」

あれ?

キャミのままだ

珍しい

無理やり着替えさせなかったんだ

「あぁ!
もしや、気を失わせて、その間に洗車を終わらせたなあぁ」

わたしの言葉に、元がふんっと鼻を鳴らした

「気づくのが遅せぇんだよ」

むかっ

だから一人で行こうと思ったんだ

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