俺様執事に全てを奪われて
別に長居するつもりはとくになかったんだけど

有栖川の授業を受けるか、受けないかもう一度ゆっくり考えてからにして

…と事務担当の飯島冴子に言われて

資料を貰った

ソファに座って、資料を読み始めた瞬間に眠気が襲ってくる

眉を引っ張って、かろうじて目を開けているのだが

ついつい瞬きとともに、意識が飛ぶ

そのたびに、壁にガツンと額をぶつけた

痛い…なあ

痛いけど、眠くてぇ

読まないとなのに…なあ

わたしはまたパンフレットを手にして、眉を吊り上げた

身体がガクンっとなったところで、顔をぱっとあげると隣に元が座っていた

壁に頭をぶつけないように座っている

「額が赤くなってる
寝るか、読むか…どっちかにしろ
寝るなら、家に帰る」

「じゃ、読む」

わたしはパンフレットに目を戻した

「あらあ、仲良しね
聖一郎さんと見合いするより、この人と付き合っちゃえば?」

飯島冴子がぷぷっと笑いながら、流し眼でわたしを見てきた

「聖子を叩いたら…な」

私はぼそっと小さい声で言った

…てか

元にそういう気持ちがあるのか

知らないし

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