俺様執事に全てを奪われて
頭にきたらプチ家出
家に帰る車中、元がMDの音量を下げた
「俺、思うんだけど…今日の訪問に何か意味があったのかよ」
車を運転してる元が、ぼそっと呟いてきた
不機嫌極まりない口調だった
「ああ…どうかな?」
わたしは助手席に座って首を捻った
本来なら、後部座席に乗るのが普通なんだけど
なんか、元に『助手席に座れ』って言われて、すんなりと座ってしまった
恋人同士みたいでちょっと嬉しいなあ…なんて思ったんだけど
元はさっきから機嫌がすこぶる悪い
むすっとして、じとーっとしてる
苛々オーラ満載で…怖い
「意味があったのかよ」
「だから…わかんないよ、そんなこと」
つい、わたしも怒鳴ってしまう
はあ…甘い恋人ムードってわたしたちには程遠い気がする
…て第一、私たちは恋人同士なのか?
いいなあ
わたしが入り込む隙がないくらい信頼し合ってる、はず
羨ましいよ