僕らのベリーソルジャー
扉が閉まるその瞬間まで、降りたホームにたたずみ、じっと一悟を見つめたまま、しいが問い掛けたその言葉は、返答を返す前に圧縮された空気の音を残して閉ざされた扉の為に、そこで途切れた。


再び動き始めた電車を見送る事なく、スカートの裾を翻して駆け出した、しいの唇が、最後に本当に『信じてるから』と、動いたのか確かめる術も持たぬまま、黙り込んだ一悟をひとり乗せ、最終電車は車庫への道を辿りはじめたのだった。
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