僕らのベリーソルジャー
「ありがと。」


渡されたタオルに顔を埋め、くぐもった声で短く礼を述べると、天馬は顔を洗うため歩いていった。



冷たい水で顔を洗い、泣き顔の痕跡は少し赤くなった目だけになった天馬が戻ったとき、一悟は天馬の居た水のみ場の方向とは逆の方に身体を向け、更に眠っているかのように目を閉じていた。


泣いた顔を見ないで欲しいと告げた自分に対する、その律儀な態度に天馬は小さくクスリと笑みをこぼす。


「ん?戻ったか?」


今まで寝ていましたと言いたげな台詞を吐いている一悟に、天馬は手を伸ばして、ぎゅっと抱きついた。
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