僕らのベリーソルジャー
「そ……うか?」


天馬の細い髪が悪戯な風にあおられて、顔をかすめていくのをくすぐったく感じながら、一悟は答えた。


「うん。誰かに触れられることは、僕にとっては恐怖なんだ。生命の存続を脅かす脅威だから。」


「……穏やかじゃないな。」


「うん。」


一悟の感想に天馬は頷き、だからね、と続けた。


「実の親にも、ううん。実の親だから、かな。こんな風に抱かれたことなんてないよ。」


もちろん、それ以外の他人にもないんだけど。


ふふっと笑って言う天馬のことを、一悟は何も言わず更に深く抱き締めた。
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