僕らのベリーソルジャー
「……一悟?」


訝しげに問う天馬の白磁色をした小さな耳に唇をよせ、一悟は心の深いところから湧きだす感情のままに、静かに言葉を紡いだ。


「こんなことで簡単に安心できて、穏やかな気持ちになれるっていうのに、お前はそんな事を知らないままで此処まで大きくなってきたんだな。」


低く囁く一悟の言葉が、天馬の身体に染み渡っていくように。


その震えている臆病な心に届くように。


願いながら一悟は言葉をつないだ。


「こうするだけで、簡単にしあわせな気持ちになれるってのに、な。」
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