僕らのベリーソルジャー
絞りだすように、辛そうな声で天馬が言った言葉を、一悟は噛み締めるように頭の中で繰り返した。


「…………………ひどいな。」


口から出たのは、ありふれた言葉だけ。


しかし、一悟は天馬を両手でしっかりと抱き締めて、言葉として伝えられない気持ちを示した。


「まだ、僕達が卵だった時の話だよ。
そんなの覚えてるハズがないって笑ったっていいんだよ?
嘘ばっかり言うなって怒ったっていいんだよ?
信じてもらえる話じゃないって事ぐらいはわかってるんだ。」


天馬の声に、少し自嘲気味な色が加わっている事に、一悟は気が付いていた。
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