僕らのベリーソルジャー
「…とりあえず、座って話さないか?」


そう言って、一悟は隣を差し示す。


桃太は素直に座った。
そして、言った。


「ありがと、一悟。」


「なにが?」


突然言われても、何を感謝されているのかわからない。


「みんなを帰らせてくれて。」


並んで座ってはいるが、互いに真っすぐ前にあるティラノの像に目をやったまま、話す。


ちらりと、桃太に一瞥を投げ、一悟はティラノの向こう側にあるガラス窓に浮かんだ月に視線を戻しながら、あぁ、と答えた。


「…お前等は帰らなくって良かったのか?」
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