死神の花
「ハァ‥ハァ‥」
俺は荒い呼吸を整える為に深呼吸をして、目の前にある屋上の扉を見据えた。
そういえば、屋上の扉には鍵がかかっているはずだけど‥‥そんなことを考えながらも、俺はドアノブに手をかけた。
「まぁ‥やってみないと分からないしな」
そして、静かにドアノブを回してみた。
俺の予想とは違い、何故か鍵はかかっておらず、扉は簡単に開いた。
最初は不思議に思ったが、昨日ユキが開けたままで誰も鍵をかけていなかったことに気づいた。
「此処は誰も来ないからな‥」
きっと、鍵が開いていることにも気づいていないのだろう。
その時の俺は何も知らなかった。
本当に、何も知らなかったんだ。
これから次々と起こる事件のことを。
ユキが此処に来た、本当の理由を。
そして、
遥という[存在]が
此処に在る意味を‥