死神の花
「梓のモノにならないなら‥‥死んでよ」
次の瞬間、物凄い力で身体が床に叩き付けられた。
飛んでいきそうになる意識をなんとか繋ぎ止め、俺は峪下に視線を向けた。
「ッ‥んだよ‥‥ア‥レ‥」
狂ったように笑っている峪下の背後には、グロテスクな人形のようなモノが在った。継ぎ接ぎ、長い足、複数ある深紅の瞳。
そして、鋭い鎌のような爪。
「あの人が梓の為に力を貸してくれたの‥‥。梓は、世界一可愛くて強いお姫様になったのよ‥‥」
譫言のように言う峪下の瞳は虚ろ。
「遥君を殺して、あの女も殺せば‥‥遥君は永遠に梓のモノになる‥!」