死神の花
生まれた頃から不自由のない生活を送って来た。大きな家に広い庭、可愛い服、人よりも整っている顔。でも、親の温もりを知らずに育った。
いつも大きな家に一人きり。
仕事なのだと言い聞かされ、仕方のないことだと思う度に自分自身の心を押し殺した。周りが羨ましくて仕方なかった。不自由な暮らしになっても良いから、温もりが欲しかった。
学校に通い始めると、友達ができた。沢山の人が周りにいて、温もりに触れることができて嬉しかった。だけど、聞いてしまった。気づいてしまった。
全ては上辺だけの温もりだと。
やっと温もりに触れられたと思ったのに、それは全て偽物だった。一人じゃないと思えたのに、結局私は一人だった。温もりなど何処にもなくて、ただ心が痛くて涙が止まらなかった。