PsychoCabala〜第7の男〜
「なっ!?」



音の無い空間、
深夜に響くのは
遠くでなる車のクラクションだけ。



水谷はトリック映画でも見ている感覚だった。



そんな水谷を尻目に、
帯斗は噴水の淵に立ち両手を広げた。



月と噴水を背に、
両手を広げた帯斗は
とても神秘的に映り
その姿はまるでオーケストラを操る
マエストロの様だった。



次に帯斗は
右の手首をクルクルと回した。



そして右の手首がピタリと止まり
パチン!と指が弾かれた瞬間。



空中で止まっていた水は
一斉に水面に降り注ぎ、
そしてまた元の動きを取り戻した。



帯斗は静かに地面に降り立ち、
動く事の出来ない
水谷に小さく囁きかけた。



「君達には

『まだ早い』

ですよ。

水谷さん。」



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