PsychoCabala〜第7の男〜
粥川と隣の選手が争う。



その差、手一つ分。



トップをキープして帰ってきた
粥川と春日ヶ丘の選手が
ほぼ同時で壁にタッチした。



それを合図に田中が飛び出す。



前半そのままの順位をキープし田中は
バックでターンを切り返した。



次はアンカーの帯斗が
スタート台に上がる。



両腕を大きく伸ばす帯斗の脇腹に
大きな赤い痣が見えた。



「村上。お前、
それ大丈夫か!」



心配する深見と粥川が聞いた。



帯斗はゴーグル越しにニッコリと笑う。



その笑顔に深見と粥川は
拳を帯斗に向かって突き出した。



そのまま、飛び込みの姿勢に入る。



前にかがみ、
帰ってくる田中を見つめた。



「センパーイ!」



集中する帯斗の耳に聞きなれた声が届いた。

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