PsychoCabala〜第7の男〜
暫くして
イナッチが空を見上げたまま言った。



「この時期、急遽柳沼に転校って

ここに何かあんの?

『教団』の連中が
『修行』とか言ってたぜ。

俺はてっきりお前と、
このまま教団のラボに
配属されると思ってたのにな。」



その言葉に
星野は静かに本を閉じた。



「ここ柳沼学園の在る場所は
昔から『磁場変動』によって
『暗黒物質』の安定が非常に悪いんだ。


だから、磁場が大幅に狂う時
『黒き教団』が派遣される。


暗黒物質のプロである
僕達がね。


この柳沼のある土地に関して言えば、
それこそ神話の時代から
黒き教団はそうして来ているみたいだよ。」



星野のその言葉に
イナッチは空を見つめ呟いた。



「なんの為に?」



「磁場変動によって
暗黒物質が人体に
影響を及ぼす確率が上がるからだよ。


異常をきたす人々を、
昔から暗黒物質を
操る事の出来る僕達のご先祖様が
密かに『治療』してきたから。」



「ふーん。
でも何で今は、
宮内庁管轄なんだろうな。」



「それは、
古代より我々
『黒き教団』が
天皇家に遣えて来たからだね。


いつの時代も
王が政治を治める時、
影で動く
僕たちの様な
存在が必ず必要って訳さ。」

< 170 / 314 >

この作品をシェア

pagetop