PsychoCabala〜第7の男〜
二人は直ぐに思った。


『この人はいったい誰だ。

テコンドー部の人だろうか。

にしては、体育会系でもなさそうだし。

何より、この敵意むき出しオーラは一体何なんだ。』


頭の中であらゆる思考が駆け巡り、
明らかに不安いっぱいな表情になった。




しかし椅子に座ってしまった二人は、
どうする事もできず

ただ両手をグーに握り、
太股の上に置いたままで目の前のおっかない先輩を直視するしかなかった。



二人の額に流れる汗。



しばらくの沈黙の後、帯斗から口を開いた。



「君達。俺の顔に何か文字でも書いてあるの?」



二人は慌てて視線を反らした。



「いっ。・・いえ。」



帯斗は三年生にもなって、部員不足の為、
強制的にテコンドー部に形だけ入部させられていたのだ。



その為、こんな面倒臭い事に駆り出され、最悪の気分だったのだ。



「あー。そっちの、
次郎くん。
君から記入しなさい。」



先輩のその言葉に、
片方の新入生は苦笑いをし思った。



なんだこの命令口調は、
しかもこの人まったくやる気がない。



しかも、俺。
『次郎』じゃねーし。



勝手に名前付けられてるな。
でも、反論できる訳もない。



仕方なく彼は、自分に言い聞かせた。



よし。ここは『次郎』だ。



続けて帯斗が言った。



「それと、隣の君。


 えーと君は確か・・・」



もう一人の新入生は考えた。



 あいつが『次郎』なら、
この人、俺を絶対『一郎』って言う。間違いない!



流れる汗を尻目に帯斗の言葉を待った。



「おう。
『ヤス』くん。
君もだ!サインしなさい。」



・・・・・
なんで『ヤス』なんだ。


彼は落胆した。
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